食品の熱量(エネルギー)は、たんぱく質、脂質及び炭水化物のそれぞれについて定められたエネルギー換算係数(各成分1g 当たりの利用エネルギー量)を用いて算定される。 しかしながら、食品成分表と栄養表示基準を比較すると、同一の食品であっても、用いるエネルギー換算係数が異なる場合も少なくない。 そこで、エネルギー換算係数はどの様な経緯で決められているのか、なぜ食品成分表と栄養表示基準のエネルギー換算係数が異なるのかについて述べる。 まず、エネルギー換算係数が決められた経緯で決められているのかであるが、ヒトは摂取した食品に含まれるたんぱく質、脂質及び炭水化物を体内で「燃焼」させることによって生命活動に必要な熱量(エネルギー)を確保している。 食品中のたんぱく質、脂質及び炭水化物を完全に 100%「燃焼」させる時に得られる熱量(エネルギー)の量は、実験的に、ボンブカロリーメーター装置で求めることができる。 この時の熱量(エネルギー)の量を「物理的燃焼熱(物理的燃焼値)」という。 ところが、ヒトは摂取した食品中のたんぱく質、脂質及び炭水化物を 100%消化吸収できない。 さらに、たんぱく質については吸収されたものの一部が尿素や尿酸などのかたちで尿中に排泄される為、体内で食品から実際に確保できる熱量(エネルギー)はボンブカロリーメーター装置で求めた「物理的燃焼熱」よりも少なくなる。 食品からヒトが体内で確保することのできる熱量(エネルギー)は、ボンブカロリーメーター装置で求めた当該食品の「物理的燃焼熱(物理的燃焼値)」よりもどの程度少いのかは、 それぞれの食品中のたんぱく質、脂質及び炭水化物の体内代謝や消化吸収率を実験的に求めて初めて分かることである。 しかし、現実には、その様な実験をそれぞれの食品中について実施することには様々な困難を伴う。 そこで、できだけ手間をかけずに計算だけで近似値を求める仕組みをつくろうとの発想から生まれたのがエネルギー換算係数である。 実際に、食品群毎に代表的な幾つかの食品を選び、それらについて実施したヒトによる消化吸収率等の実験結果から各食品群のたんぱく質、脂質及び炭水化物の平均的な利用率を求めてエネルギー換算係数を定める。 一般的に広く用いられているエネルギー換算係数にアトウォーター(Atwater)のエネルギー換算係数がある。 これは、実用的な「生理的熱量(生理的燃焼値)」として、たんぱく質、脂質及び炭水化物についてそれぞれ利用エネルギー量を 4kcal/g、 9 cal/g 及び 4 kcal/g と定めたものである。 アトウォーターのエネルギー換算係数は、Rubner と Atwater の研究により、ヒトによるたんぱく質、脂質及び炭水化物の消化吸収率が平均的にそれぞれ 92%、95%及び 97%であり、さらにたんぱく質の一部が尿素や尿酸などとして尿中に排泄されることによるエネルギーの損失が平均的にたんぱく質1g 当たりで 1.25 kcal であることが明らかにされたことに基づいている。
次に、食品成分表と栄養表示基準でエネルギー換算係数が異なるのかであるが、アトウォーターのエネルギー換算係数は、食品全般に対する平均的な値である。 ところが、たんぱく質、脂質及び炭水化物の体内代謝や消化吸収率は、食品によって微妙に異なるのが現実である。 すべての食品についてたんぱく質、脂質及び炭水化物のヒトによる利用率を求め、食品毎に個別のエネルギー換算係数を設定するのが理想ではあるが、現実的ではない。 そこで、2種類の考え方が生まれた。 1つは、日本の栄養表示基準やイギリスの食品成分表などに採用されている考え方で、炭水化物を利用可能なもの(糖類やでんぷん等)と利用不能なもの(食物繊維、難消化性オリゴ糖あるいは糖アルコール等)に分け、これらの成分についても個々にエネルギー換算係数を設定するものである。 この考え方の場合は、食品の種類を問わず同一の成分であれば一律に同じエネルギー換算係数を用いることができるという利点がある。 たとえば、日本の栄養表示基準における各成分のエネルギー換算係数は下表の通りである。
たんぱく質と脂質のエネルギー換算係数をそれぞれ4 kcal/g と9 kcal/g と定め、炭水化物については小腸までで消化吸収されるもの(消化性糖質)のエネルギー換算係数を4kcal/g、消化吸収されず、大腸で腸内細菌による発酵分解を受けて短鎖脂肪酸となり、吸収されてエネルギーとして利用される難消化性糖質や食物繊維のエネルギー換算係数を発酵分解の難易度に応じて3、2、1及び0 kcal/g の4段階に設定している。 もう1つの考え方は、日本の食品成分表などに採用されているもので、食品の成分による展開はせず、食品のヒトによる消化吸収試験の結果からエネルギー換算係数を求める場合もある。この手法では全食品における人体実験が必要となるが、現実には食品をグループに分け代表的な食品で試験をし、その値をグループ内の食品に適用している。 ■ 熱量の算出 |
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