減量とは
減量とは、食事制限(ダイエット)と身体活動(フィジカルアクティビティ)により過剰な体脂肪を標的として体重減少を図ることである。
肥満の多くは過食や身体活動量不足による相対的エネルギー摂取量の過剰を根本原因とする単純性肥満である。
そのため、食事制限と身体活動量の増大が肥満解消の基本となる。
中程度までの肥満であれば、エネルギー出納を幾分か負(マイナス)の状態に保つことで、個人のレベルでも緩やかながら健康的に体脂肪の減量が概ね可能となる。
しかし、肥満の成立には、生活様式を基礎として社会心理要因や先天的素因も含めて様々な要因が複合的に関与する。
したがって、効果的に肥満を解消するためには本来は総合的視野から多角的に対処することが望ましく、特に高度肥満の場合には専門医療機関での治療が必要となる。
減量の種別
減量は食事制限(ダイエット)と身体活動(フィジカルアクティビティ)に大別される。
「一日に摂取するエネルギー量」を「一日に必要な推定エネルギー必要量」よりも少なくし、過不足となったエネルギー量を体に蓄えられたエネルギー量より消費させる。 | 「一日に摂取するエネルギー量」と「一日に身体活動で消費するエネルギー量」の差分を「一日に必要な推定エネルギー必要量」よりも少なくし、過不足となったエネルギー量を体に蓄えられたエネルギー量より消費させる。 |
食事制限
食事制限とは食事の量・種類を制限することである。
食事制限による減量とは「一日に摂取するエネルギー量」を「一日に必要な推定エネルギー必要量」よりも少なくし、過不足となったエネルギー量を体に蓄えられたエネルギー量より消費させることである。
しかしながら、生命維持に必要なエネルギー摂取量である基礎代謝量を下回るほど食事制限することは好ましくない。
ましてや絶食は禁物である。
そのような極端な摂取エネルギーの制限は医師の指導管理下で行わねば危険を伴う。
一般的な食事制限では、身体活動量を同一と仮定し、毎日300kcalの食事制限を30日間持続すればエネルギー出納を9000kcalマイナスする事ができる。
概ね7000kcalを消費すれば体脂肪1kgを減量できると考えられるため、この場合月に1kg以上の減量が期待できる計算となる。
身体活動による消費エネルギーの増大は容易でないため、エネルギー出納においては食事制限が主要な役割を果たす。
しかし、食事摂取総量が減少すると栄養バランスを欠き、健康を害する可能性が高まるため、食事制限の際は摂取カロリーを低下させても栄養の質を保つ工夫を必ずしておかなければならない。
食事制限にて減量が成立する条件は「一日に摂取したエネルギー量」が「一日に必要な推定エネルギー必要量」よりも少なく、過不足となったエネルギー量が体に蓄えられたエネルギー量より消費された場合である。
身体活動
身体活動とは安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての営みのことをいう。
身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するものを「運動」、運動以外のものを「生活活動」といい、職業や家事活動上のものも含む。
これらの関係は、
身体活動=運動+生活活動
とまとめることができる。
身体活動による減量とは「一日に摂取するエネルギー量」と「一日に身体活動で消費するエネルギー量」の差分を「一日に必要な推定エネルギー必要量」よりも少なくし、過不足となったエネルギー量を体に蓄えられたエネルギー量より消費させることである。
身体活動では摂取するエネルギー量を同一と仮定し、1日300Kcalのエネルギー消費を行えば、上記の食事制限同様1ヵ月で1kg以上の減量が可能となる。
しかし、300kcalを消費する身体運動を行うには長時間を要するため、労力の割にエネルギー消費量は少なく、毎日行うことは容易ではない。
だが、無理のない頻度で中等度以上の運動を減量時に組み入れることは強く推奨される。
なぜなら、運動が筋力や骨量の保持・増大を促し、減量時の健康管理上重要な役割があるからである。
身体活動にて減量が成立する条件は「一日に摂取したエネルギー量」と「一日に身体活動で消費したエネルギー量」の差分が「一日に必要な推定エネルギー必要量」よりも少なく、過不足となったエネルギー量が体に蓄えられたエネルギー量より消費された場合である。
減量のペースと健康管理
減量を行う際には1ヵ月に5%以内の減量に留める事が肝要である。
目標とする体重への減量が一旦達成されてもその後再び元の体重に戻ったり、短期間で以前の体重よりも増量する場合がある。
これをリバウンド現象と言い、特に短期間に急激に減量すると経験しやすい。
逆戻りした体重が以前と同じであってもリバウンド後は筋肉や骨の量が減少して結果的に体脂肪率は増加する傾向がある。
このリバウンド現象と減量を繰り返すと体脂肪が蓄積しやすく減少しにくい身体状態になる。
そのため減量後にはリバウンドしないように十分な注意を要する。
減量における注意点
短期間における極端な減量は、骨量や筋肉量の減少、貧血や骨粗鬆症の発症、易疲労感、ストレスによる過食、過食と拒食の反復、気力、体力の減退、無月経、肌や髮を痛めたり風邪をひきやすくなるなどの多くの健康障害をもたらす可能性があるため十分に注意しなければならない。
したがって、たとえ軽度の減量を行う場合であっても健康面に配慮しつつ時間をかけて慎重に行うことが重要である。
脂肪は元来生体に必要な組織であり貯蔵エネルギー源をはじめ衝撃吸収材の役目を担ったりホルモンの材料になるなどの重要な働きがある。
特に女性では男性よりも8%ほど余分に性固有の体脂肪量が必要とされる。
極度の減量により体脂肪率が極端に低下すると月経不順や無月経を生じる。
また、成長期において不適切に減量を行えば発育不良を呈したり最大骨量を高められなくなり将来的に骨粗鬆症のリスクが高まる可能性がある。